脂肪吸引は拘縮する?医師が詳しく解説
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脂肪吸引は皮下組織がダメージを受ける手術であるため、ダウンタイムが比較的長く、その間にはあらゆる症状が見られます。
そして、その症状のひとつとして現れやすいのが拘縮(こうしゅく)です。
こちらの記事では、脂肪吸引後に拘縮が起こるメカニズムや拘縮の症状、拘縮の回復を早める方法についてご紹介しています。
この症例写真は、二の腕の脂肪吸引の手術前と3か月後の症例写真になります。
当院では、拘縮が無いように気を付けて手術しております。
脂肪吸引に拘縮はつきもの?起こるメカニズムとは
クリニックの症例写真を検索していると、脂肪吸引後の皮膚が凸凹した画像を発見して驚くことがないでしょうか。
このような画像を見てしまうと、「脂肪吸引は失敗する手術だ」という認識を持つかもしれません。
脂肪吸引後の凸凹は、脂肪の取り残しで起こることもあり、この場合では手術の失敗として捉えることができるでしょう。
しかし、それがダウンタイム期間に見られる拘縮なら、失敗ではなく、脂肪吸引を受けた方ほとんどに見られる正常な反応として捉えることができるのです。
それでは、脂肪吸引後に拘縮が起こるメカニズム、症状、拘縮が続く期間についてご紹介しましょう。
拘縮が起こるメカニズムとは
脂肪吸引とは、脂肪吸引器を用いて脂肪を吸い出す手術で、手術後の皮下組織は大きなダメージを負った状態になっています。
そして、このときに働くのが、人間が本来持っている「自然治癒力」です。
では、脂肪吸引後に自然治癒力が働くとどのような現象が起こるのでしょうか。
手術直後から3日目までに見られる代表的な症状は、腫れ、内出血、痛み、むくみです。
腫れや内出血は、手術で皮下組織や血管が傷付けられたことで生じ、むくみは麻酔の影響を受けて起こりやすいといわれています。
近年では皮下脂肪を脂肪吸引器で無理に剥がすのではなく、超音波で溶かす、高周波で顆粒状に変化させるなど、体に配慮した手術も登場してきています。
しかし、どのような方法であれ、脂肪を吸引するわけですから、皮下組織や血管は少なからずダメージを負って当然なのです。
そして、ダメージの反応として見られるのが、腫れや内出血、痛みだということですね。
そして、術後2週間が経過したあたりになると、目立った腫れや内出血、痛み、むくみは快方に向かい、手術直後のような辛さはなくなります。
しかし、今度はそれらと入れ違いに、拘縮の症状が現れてくるのです。
拘縮というのは、これまで脂肪があった部分に空洞ができることで自然治癒力が働き、いち早く皮膚を接着させるための線維を生成する目的で起こる現象です。
拘縮が始まると、皮膚表面に塊のようなゴロゴロとした感覚を覚えたり、表面の凸凹が確認できたりしますが、これこそが線維が生成され始め、拘縮が始まったサインです。
このような拘縮の症状が見られると、「思っていたのとは違う」「失敗した」と感じるかもしれません。
また、目立った凸凹ができると、本当に滑らかな状態に仕上がるのか不安になるかもしれません。
しかし、拘縮は脂肪吸引を受けたほとんどの方に現れる症状で、失敗ではありません。
それどころか、拘縮が起こるということは、体に備わっている自然治癒力がしっかり機能しているということなのです。
なお、拘縮の度合いについては、脂肪吸引を受けた部位や範囲によって差が生じますが、いずれの場合でも、硬さや凸凹は異常ではありませんのでご安心ください。
また、人によっては強いひきつれが見られることもありますが、これもまた、拘縮のひとつの症状であるため心配する必要はありません。
拘縮はいつまで続く?
拘縮は新しい繊維を生成して手術部位を正常な組織に戻すために起こる現象であるため、数日間で治まるようなことはありません。
こちらでご紹介する拘縮の期間についてははあくまでも目安ではありますが、およそ6カ月程度は続くと考えておいたほうが良いでしょう。
6カ月というと、とても長い期間のように思えますが、脂肪吸引自体が組織に大きなダメージを与える手術であるため、一朝一夕に回復できるものではないのです。
脂肪吸引の拘縮はケア次第で短縮できるのか
脂肪吸引の拘縮は、時間の経過とともに自然に快方に向かいます。
とはいえ、硬さや凸凹はどうしても気になりますので、いち早く解消したいと考えることもあるでしょう。
それでは、拘縮を長引かせないための対策をご紹介します。
この症例写真は、脂肪吸引の手術前と9か月後の症例写真になります。
圧迫で皮膚の接着を早める
脂肪吸引後には圧迫固定をしますが、この処置は、腫れや内出血、痛みむくみの緩和目的と、拘縮を最小限に留める目的で行います。
また、圧迫固定の期間については手術を受けた部位によって異なり、以下がその期間の目安となります。
顔
顔は脂肪吸引の範囲が狭い部位ですが、範囲が広い範囲と同様に拘縮が起こりますので、術後には圧迫が必要になります。
なお、顔の圧迫に関してはクリニックごとに期間が異なりますが、最低でも3日間、長ければ1カ月程度の期間が必要になると考えておくと良いでしょう。体質や脂肪吸引量によって異なります。
顔の圧迫は、術後にクリニックで処置を受けた固定バンドなどを使用することになります。
二の腕
二の腕はよく動かす場所であるため、拘縮によるひきつれが起こりやすいといわれています。
二の腕の圧迫は約2週間、長ければ1か月間の圧迫が必要になることもありますので、医師の指示に従って圧迫を続けましょう。
二の腕はサポーターで圧迫することになります。
お腹、ウエスト、腰周り、お尻
お腹やウエスト、腰周り、お尻は範囲が広いため、拘縮による硬さや凸凹が出やすい部位です。
そのため、最低でも1か月間の圧迫は必要になるのです。
この間に圧迫を怠ると、拘縮が緩和されないだけでなく、皮膚にたるみが生じた状態で定着してしまう可能性がありますので、必ず医師の指示通りに圧迫を続けてくださいね。
これらの部位の圧迫には、ガードルやウエストニッパー、コルセットなどを使用すると良いでしょう。
太もも、ふくらはぎ
太ももやふくらはぎは良く動かす部位であるため、痛みが長引きやすいです。
また、拘縮も起こりやすい部位ですので、着圧レギンスでしっかりと圧迫することが大切です。
なお、圧迫するための衣類は「着圧着」と呼ばれ、クリニックによっては取り扱いがある場合がありますので、脂肪吸引を受けたクリニックに相談してみましょう。
クリニックで着圧着の取り扱いがない場合では、インターネットショッピングでも購入できますので、手術前に用意しておくことをおすすめします。
マッサージを実践する
マッサージも拘縮の緩和に役立ちますが、開始するタイミングについてはまちまちです。
それは、脂肪吸引を受けた部位や年齢などによって回復のスピードが異なるためで、医師の指示に従って開始する必要があるからです。
目安としては、拘縮が始まる2週間後からとなりますが、まだ強い腫れや内出血、痛みが続いている段階でマッサージを開始してしまうと、これらの症状が悪化するリスクがあります。
つまり、医師の指示に従って開始することが大切だということですね。
マッサージは、拘縮とともにむくみの解消に役立ちます。
ストレッチを実践する
拘縮によるひきつれやツッパリ感が強く出ている場合では、ゆっくりと行うストレッチもおすすめです。
ただし、軽くストレッチを行ってみて、ひきつれやツッパリ感、強い痛みが出る場合では、ストレッチを行うタイミングではないと考えられますので、もう少し回復するまで待ちましょう。
また、強い症状が出ない場合でも、無理するとダウンタイムが長引くリスクが高まりますので、あくまでも無理をせず、症状と相談しながら行うことが大切です。
入浴で血行を促進させる
脂肪吸引直後から1週間までは入浴できませんが、それは血行の促進による症状の悪化を防ぐためです。
一方、拘縮が始まるタイミングが訪れると、今度は血行の促進が必要になりますので、入浴でじっくりと体を温めることが大切になってくるのです。
ただし、湯船に浸かっている間の姿勢が辛いなら、短時間で入浴を済ませ、入浴後に体を冷やさない工夫で対応しましょう。
なお、入浴前に500ml程度の水を飲んでおくと水分代謝も促進されやすくなり、むくみの改善にも役立ちます。
その際には、冷水を飲むのではなく、常温または温かい白湯やお茶などを飲むようにすると、より高い水分代謝の促進効果を期待できますよ。
Doctor 本ページの監修医師
■ 資格
■ 略歴
さまざまな学会の専門医・会員が在籍
下記の資格を持つ医師が在籍しています。
美容外科専門医(JSAS)、日本美容外科学会会員、サーマクール認定医、ベイザー脂肪吸引認定医、日本救急医学会ICLSコース取得、日本美容皮膚科学会正会員
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